土方奈緒ブログ

相続時精算課税と住宅資金の贈与の要件がクリアできなかった場合

相続時精算課税のうち、住宅購入のための資金贈与に2,500万円の非課税枠を選択した場合。

一定の居住要件があるが、これがクリアできなかった場合どうなるのでしょうか?

 

贈与の年の翌年3月15日までに、住宅の引き渡しを受けて、自宅として居住するなどの要件あります。

さらに、翌年12月までに実際に居住できていない場合は、修正申告に!!!

 

簡単に考えないでくださいね。

修正申告することになった場合には、贈与者である親の年齢によって、通常の贈与になるのか、それとも一般の相続時精算課税制度の贈与になるのか違ってきます。

 

もし、これが通常の110万円の非課税枠しか使えない贈与に該当することとなった場合には、かなりの贈与税がかかり、大変なことになりますので。

慎重に・・・。

住宅購入時の資金援助があったとき

マイホームを購入するときは多額の現金が必要です。

一般的には住宅ローンを組むことになりますね。

親から子へマイホームの購入資金の援助=贈与が行われることも・・・

このようなマイホームを購入する際の資金援助について、贈与税では次の2つの優遇制度が用意されています。

 

一つは、住宅取得等資金の非課税制度を使う方法。

この特例では、直系尊属から住宅資金の贈与を受けた場合、平成26年の贈与であれば、最高1,000万円までは非課税となります。

もうひとつは、相続時精算課税制度

この制度は、親や祖父母から20歳以上の子どもや孫(推定相続人)が贈与を受ける際に利用でき、非課税枠は2,500万円。贈与するのが住宅資金であれば、親の年齢制限はありません。
この制度は、それぞれ単独で使うことも、ふたつを組み合わせて使うことも可能です。ただ、実際に住宅取得資金の贈与を受けた場合には、合わせて利用するケースが多く、最大で3,500万円までは贈与税がかからないことになります。

相続時精算課税制度を一度選択してしまうと、その後、暦年課税がいっさい使えなくなります。

 

なんどもいいますが、これだけはお忘れないように。。。

 

住宅取得等資金の贈与②

最高で1,000万円までの住宅取得等資金を使えば、無税で贈与できます。

さらに暦年贈与の非課税枠110万円をプラスすることもでき、合計1,110万円まで贈与税がかからなくすることができます。

これは、暦年贈与にかえて相続時精算課税制度を併用することも可能。

 

なお、この特例制度は住宅取得等のための資金に限られ、借入金返済資金等は対象外ですのでご注意下さい。

 

平成26年1月1日~平成26年12月31日の贈与で

翌年3月15日までに住宅を取得して居住開始、

または未完成・未入居でも遅滞なく居住することが確実であることが必要です。

 

なお、対象の住宅等は、以下のとおりです。

① 自己の居住用家屋及びその敷地の購入費用(土地の権利取得のための資金を含む)。
② 所有家屋の増改築の費用。等
③ 住宅の新築等に先行してその敷地に供される土地等を取得する場合の資金。

 

この制度は相続時精算課税制度とちがっているのは、

贈与された資金が相続税を計算するときに相続財産にプラスされることがないということ。

 

相続税の節税にもつながることから、積極的に活用されてはいかがでしょうか。

 

 

 

相続時精算課税のメリット

相続時精算課税のメリットは次のとおり。

 

①賃貸物件(マンション、アパート等)を親が子に贈与すれば、贈与された時から収入は子のものになり、親の所得が増えることがなくなります。

贈与者である親(被相続人)の財産の増加をストップさせることができるんです。

 

②将来値上がりしそうな土地や株式を贈与しましょう。

相続時に持ち戻しするときの財産の価額は、贈与時の価額であることから、将来的に財産の価額が上がる見込みのものを贈与しておけば、結果として値上がり部分には相続税はかからないことになります。

 

相続時において確実に値上がりするものを贈与することによって、贈与時の評価額と、値上がった相続時の評価額との差額について、相続税の節税が可能となるんです。

 

③特定の財産を、特定の相続人に確実に承継させることができます。

贈与者の意思で比較的まとまった財産を贈与することができるので、一定の遺産分割の効果があります。

以上、メリットをまとめましたが、選択するときはデメリットも必ず把握して慎重に選択してくださいね!!!

相続時精算課税と暦年贈与

相続時精算課税制度を使えば、2,500万円の非課税枠があるので2,500万円を超えるまでは、生前贈与をしても贈与税がかかりません。

そして、2,500万円を超えた部分については一律に20%の贈与税ですみます。

相続税がかからないという方にとってはぜひとも活用していただきたい制度であることはお話ししました。

 

ただ、ここで注意していただきたいことがあります。

それは、一度相続税精算課税制度を選択すれば、暦年課税には戻れないということ。

相続税の節税対策としては、長い年月をかけることができるならば、コツコツ低い税率の金額分を毎年少しずつ贈与(=暦年贈与)することが基本です。

 

このコツコツ贈与という対策が、一度相続時精算課税制度を選択してしまうと使えなくなる。

大きなデメリットですので、慎重に検討して選択してください!!!

 

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